ようやく本腰を入れはじめた(?)自転車対策

 10月25日の警察庁交通局の自転車総合対策に関する通達は、その後新聞やTVなどのマスメディアに大きく取り扱われたたため、ご存じの方も多い かもしれない。また、この通達や新聞記事に少なからず驚かれた方が多いだろう。
 何しろ自転車は原則車道走行としながら、クルマ台数が急増し自転車との事故が増えたため、40年近くも歩道の自転車走行を黙認してきた警察庁が 「黙認から取締へ」大きく転換したからであろう。
 また、細かな内容になるが、利用率の低い場合の「パーキング・メーター撤去」「自転車横断帯の撤去」や「各都道府県独自の対策(二段停止線と共に自転車専用灯器の設置)」など、かなり踏み込んだ内容が記されているからであろう。

 この通達などを受け警察庁と国土交通省による委員会「安全で快適な自転車利用環境の創出に向けた検討委員会」が11月28日に第1回、12月15 日に第2回が開催されたこともご存じかもしれない。詳細は、警察庁交通HP(http://www.npa.go.jp/koutsuu/index.htm)及び国土交通省道路局HP(http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/cyclists/index.html)に掲載されているので、そちらをご覧あれ。

 さて、大人になってからは「自転車は車道を走る」を守り、やむなく車道を走れない場合は、自転車から降りて押す、あるいは自転車通行可の場所では徐行を心がけている筆者であるが、これまで40年近くも黙認されてきたため、「自転車は歩道を走っても良い」と考えている人が大半ではないだろうか。少なくとも40歳未満の方は、生まれたときから自転車が歩道を走る姿を見慣れているわけである。「自転車が歩道を走る光景を普通」と 思っている。
 また、日本人は器用なため、低速で安定性の良い通称「ママチャリ」や約21万台が普及している重量約30kgの三人乗りを発明し、より歩道を走りやすくしてしまった。

 このように40年近くも間違った光景で教育され、また低速&運搬に優れた自転車が出回り、人々の中に「自転車で車道を走るのは恐い」ということを植え 付けてしまっている現在、自転車は原則車道だからと言って即刻歩道を走っていたら罰金、と言うわけにはいかないと思われる。

 通達にもある自転車通行環境の確立として「自転車と歩行者の分離」「道路ネットワークの連続性」の確保、「パーキング・メーター撤去」や「自転車 横断帯の撤去」「二段停止線と共に自転車専用灯器の設置」などの整備がまず進み、自転車を運転する人は当然ながら、クルマを運転する人、歩行者 など全ての人が「自転車は車両」であることを認識し初めて「自転車は車道を走る」ことが普通になるかもしれない。そのためには「自転車が歩道を走る光景を普通」としてきた40年に匹敵するだけの年月が必要かもしれない。(高槻道夫)