長岡京市における交通社会実験

平成22年10月23日~26日、京都府長岡京市で交通社会実験が行われました。
長岡京市中心部は、東からJR、阪急、府道伏見柳谷高槻線が南北に走っており、
各々、JR長岡京駅、阪急長岡京市駅、長岡天満宮等の交通拠点、観光拠点があります。
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社会実験は、JT長岡京駅西側にある「天神通り」及びその東側に位置し、長岡京市役所、
商店街のある通称「アゼリア通り」という2本の道路を2車線から1車線の一方通行にし、
歩行者と自転車走行空間を広くするという実験です。
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社会実験中は、案内所(本部)2カ所を設置し、住民の方への対応もされていました。
また、同時に車や歩行者などの交通量がどのように変化するのか、実験中と平常時で
交通量調査を行っていました。
対面通行だったところが一夜にして一方通行に模様替えしたため、進入禁止の標識設置、
ガードレールの設置、ライン引きなど、関係者は大変なご苦労だったと思われます。
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実験中は自転車はガードレールの車道側を走ります。
歩行空間は、既存の歩道+ガードレールまでの歩道幅となります。
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この自転車走行レーン、歩行空間は場所によって狭くなっており、
「連続性」が確保されていません。
この「連続性」が確保されているかどうかが、使いやすい、
使いにくいに大きく影響しますので、社会実験とはいえ残念な気がします。
また、荷捌きスペースが十分に確保されていなかったこともあり、この歩行空間、
自転車走行レーンに駐停車する車が多かったのが気になりました。
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「アゼリア通り」の東端の交差点です。ここからの右折は禁止されていますので、
通常ある右折レーンは簡易ゼブラ(白いテープを貼ったもの)が引かれていました。
但し、標識(青い大きな標識)まで右折の標示を隠すことは出来なかったみたいですね。
一方通行となったアゼリア通りにバスが並んで停車しています。
社会実験当日はバス利用者も多少不便を感じたことかも知れませんね。
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神業に近い自転車ハンドルさばきですね。子供を後ろに乗せ、狭い「歩道」をすり抜ける自転車。
確かに、ガードレール(+鋼材)が邪魔をしており
「一体自転車はどこを走ればいいの?」と迷ってしまいますね。
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「弁天通り」も、歩行者と自転車が「どこを歩いたらいいの」「走ったらいいの」と
利用者の戸惑いが伺えます。
また、自動車が「自転車走行レーン」に入ってくるため、やむを得ず自転車は歩行空間に
押しやられ、結局、一番弱い立場の歩行者が危険にさらされることに・・・・・・・。
今回の社会実験は「バリアフリー整備」に向けて、歩行空間を広く確保し歩行者等が
安心して安全に歩けることを目指した試みなだけに、このような光景が多く見られ少し残念です。
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一方通行の場合、逆向きの自転車は左写真のように逆走することになります。
これは狭い車線を車に向かっていくことになり、自転車側からすると怖いです。
(車のドライバーも怖い、あるいは邪魔、と思っているでしょうね)
そのため、車は左側の自転車走行レーン側に寄ってしまうことになります。
または、自転車走行レーンに入ってしまいます。この結果、前述のようにところてん方式で、
車→自転車走行レーンへ、自転車→歩行空間へ、歩行者→元の狭い歩道を歩かざるを得ない、
ということになります。
写真右は、阪急の踏切からの滞留が八条ヶ池交差点まで影響し、交差点で混雑が
生じている様子です。本来、アゼリア通り2車線と弁天通り2車線の計4車線で賄っている
交通量を一方通行にすることにより2車線で賄う事になるわけですから、
交通量が半分にならない限り、このような渋滞が起きるのは当然と言えば当然かも知れません。
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社会実験期間の長さ、周辺住民の理解と協力、
あるいはそもそもこの社会実験は誰がやりたかったのか、等々、
いろいろと考えさせられる実験だったように思います。