岡山の「MOMO」

2002年7月5日に運行を開始した、100%超低床式路面電車です。
電停との段差がなく、車椅子でもスムーズに乗れるという機能性だけではなく、九州新幹線「つばめ」をデザインした水戸岡鋭治氏に全面的にデザインを依頼し、近未来的な外観、車内には木をふんだんに使ったといういままでにないデザインに仕上がりました。

この電車は、第一回日本鉄道賞 グッドデザイン賞 ローレル賞など多くの賞を受賞しています。

岡山電気軌道株式会社HPより
http://www.okayama-kido.co.jp/tramway/momo/momo-page.htm


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撮影:まちかど探検隊

街と人を結ぶ21世紀の乗り物 LRV
コンセプト
 魅力的な乗り物として一人でも多くの人を惹きつけることができるよう、利用者の求める快適さを演出する。車内空間の充実と、弱者に対するきめ細かい人的サービスに取り組み、21世紀の用と美に合ったLRVを走らせる。
概要
 エクステリアは景観の一要素、舞台のセットの一つにして扱った。雑多な色が混ざり合う街を走るときどう映るのか。ホームでは人の良き背景になれるよう、外観はライトシルバーメタリック、キーカラーとして一部にコバルトブルーメタリックを使い、ツートンカラーとした。ガラス面が広く大きいので明るいモダンな印象に仕上がるはずである。
 中に入ると今度は木を中心に、アルミ、ガラス、鉄といったエコ素材を使い、視覚的、機能的、そして精神的にも心地良い癒しのインテリアに仕上げる。特に五感で時代を感じてもらえるよう、良い音を聴き、良い素材に触れながら飲食できる空間を考える。
 昼は昼のインテリア、夜は夜の雰囲気を味わえるような照明効果、音響効果を期して必要に応じた小さなテーブル、小さなベンチなどを設置する。
 小さいながらも車内を歩きたくなるように、モビリティを生かし開放感と安心感を提供するアメニティがある魅力的なLRVを目指す。同時に、長い目でみて「街の財産」として認知してもらえるよう、デザインの質とコスト意識とにバランスよく目配りした車両をつくっていきたい。

                                   ドーンデザイン研究所  水戸岡 鋭治

 この度導入することになったLRV(超低床路面電車)は、車両デザインを岡山県出身であることが縁となり、JR九州の特急列車などを手掛けるデザイナー水戸岡鋭治氏が手掛け、台車製造はBOMBARDIER TRANSPORTATION社製、車体は新潟鉄工所社製により作成することとなりました。

岡山電気軌道株式会社HPより
http://www.okayama-kido.co.jp/tramway/momo/momo-page.htm


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撮影:まちかど探検隊

試乗した感想
ドイツのLRTと比較してもなんら遜色なく、乗入の開口部も広く、フラットであるため乗降もスムースでした。騒音や振動もとても小さく今までの路面電車とは「異なる乗り物」とのイメージを持ちました。
但し、大きな課題が二つあり、これはとても難しい問題ですが、解決することは不可能ではないと思われます。
まず一つは、運賃支払い方法です。バスと同じように降車時に現金、回数券、ICOCA等のカードにより支払います。しかし、この降車時に時間がかかってしまいます。両替をする人、磁気カードが上手く認識されない等でつかえてしまうことが多いです。富山ライトレールみたいに信用乗車方式の採用が望まれます。
もう一つは、JR駅との接続の不便さです。JR岡山駅とは駅前広場を挟んで地下道、地上から乗り換え出来るのですが、いささか時間がかかりとても不便です。ドイツのフライブルク中央駅のように、鉄道駅のホームから階段やエスカレーターで直接LRTのホームにアクセスすることができる、そのようなシームレスが望まれます。この結節点(異なる公共交通の乗り換え地点)における利便性(上下・水平移動、乗換え待ち時間)が欧州に比べ遅れている気がします。(これは縦割りの弊害?利用者への配慮不足?でしょうか)